満月は古来より世界各地で特別な存在として捉えられてきました。
特に英語圏では、1年の各月の満月にそれぞれ特別な名前がついています。
「ストロベリームーン」「ハーベストムーン」など、美しい響きの裏には、自然や暮らしと共に生きた人々の知恵が隠れています。
この記事では、12ヶ月の満月の名前と由来、意味、背景について詳しく解説します。
満月の名前12ヶ月の一覧
英語圏では、1年の各月の満月にそれぞれ特別な名前がつけられています。
まずは、12ヶ月の満月の英語名を一覧で見ていきましょう。
| 月 | 英語名 | 読み方 | 意味・由来 |
|---|---|---|---|
| 1月 | Wolf Moon | ウルフムーン | 冬の夜に狼が遠吠えする様子から |
| 2月 | Snow Moon | スノームーン | 雪が最も多い季節の象徴 |
| 3月 | Worm Moon | ワームムーン | 春に虫が活動を始める時期 |
| 4月 | Flower Moon | フラワームーン | 花が咲き誇る春の象徴 |
| 5月 | Pink Moon | ピンクムーン | ピンク色の花・モスフロックスに由来 |
| 6月 | Strawberry Moon | ストロベリームーン | イチゴの収穫期を意味 |
| 7月 | Buck Moon | バックムーン | 雄鹿の角が再生する季節 |
| 8月 | Sturgeon Moon | スタージョンムーン | チョウザメ漁が盛んな時期 |
| 9月 | Harvest Moon | ハーベストムーン | 収穫を助ける明るい月 |
| 10月 | Hunter’s Moon | ハンターズムーン | 狩猟に適した季節 |
| 11月 | Beaver Moon | ビーバームーン | ビーバーが冬支度を始める時期 |
| 12月 | Cold Moon | コールドムーン | 一年で最も寒い季節の象徴 |
満月の名前1月~12月の由来や意味、背景を解説
ウルフムーンやストロベリームーンなどの満月の名前は、古代の人々が自然と共に生き、季節を読み取るために生まれた文化的な知恵です。
ここでは、満月の名前の由来や意味、文化的背景をわかりやすく解説します。
1月:ウルフムーン(Wolf Moon)
- 意味:寒い冬の夜、遠くで狼が吠える姿に由来。
- 文化背景:ネイティブアメリカンでは、冬を耐える忍耐や孤独の象徴とされました。
- 観測のコツ:冷たい空気で空が澄むため、夜空観測には最適です。
2月:スノームーン(Snow Moon)
- 意味:雪深い季節を象徴。
- 文化背景:雪に閉ざされる冬の忍耐と、やがて訪れる春への希望が込められています。
- 観測のコツ:雪面反射で明るすぎるときは露出をややマイナス補正。
3月:ワームムーン(Worm Moon)
- 意味:凍った地面が緩み、ミミズが活動を始める季節。
- 文化背景:再生と始まりの象徴。農耕民族にとって春耕のサインでした。
- 観測のコツ:春分近くで、夕方に昇るオレンジ色の月が見頃。
4月:フラワームーン(Flower Moon)
- 意味:春の花々が咲く時期を祝う。
- 文化背景:生命力や自然の恵みを称える行事が各地で行われました。
- 観測のコツ:桜や花畑と撮ると季節感のある一枚に。
5月:ピンクムーン(Pink Moon)
- 意味:北米の花「モスフロックス」にちなんだ名。
- 文化背景:春の成長や家族の絆を祝う月。恋愛運の上昇を願う風習も。
- 観測のコツ:空気が安定しやすく、月面撮影にも向いています。
6月:ストロベリームーン(Strawberry Moon)
- 意味:イチゴの収穫期を示す。ヨーロッパでは「ローズムーン」とも。
- 文化背景:甘酸っぱい果実のように、愛や感謝を象徴する月。
- 観測のコツ:地平線近くで赤く見える“低空の満月”は人気。
- 豆知識:月の赤みは大気中の光の散乱による現象です。
7月:バックムーン(Buck Moon)
- 意味:雄鹿の角が再生・成長する時期。
- 文化背景:力強さと豊穣祈願の象徴。農業の成長期とも重なります。
- 観測のコツ:湿度が高い季節は山や高原など、空気が澄む場所で。
8月:スタージョンムーン(Sturgeon Moon)
- 意味:チョウザメ漁が盛んな季節。
- 文化背景:湖や川で行われる水の祭り・収穫祭と関係。
- 観測のコツ:湖畔や海岸で「月の道(ムーンロード)」を狙うと幻想的。
9月:ハーベストムーン(Harvest Moon)
- 意味:秋の収穫期に昇る明るい満月。
- 文化背景:農業社会で最も重要な月。感謝祭や中秋の名月に通じます。
- 観測のコツ:黄金色の稲穂や果樹園を前景に入れると映えます。
10月:ハンターズムーン(Hunter’s Moon)
- 意味:狩猟に適した季節。
- 文化背景:収穫後の野で狩りを行う、冬支度の始まりを告げる月。
- 観測のコツ:低空の橙色の月はハロウィン装飾とも好相性。
11月:ビーバームーン(Beaver Moon)
- 意味:ビーバーが冬に備えて巣作りする季節。
- 文化背景:忍耐・備え・家族愛の象徴。感謝祭とも関連。
- 観測のコツ:寒気で空が澄み、月光がよりクリアに。
12月:コールドムーン(Cold Moon)
- 意味:一年で最も寒い時期の満月。
- 文化背景:冬至・クリスマスなど“光の再生”を祝う月。
- 観測のコツ:澄み切った空気の中、星との共演が美しい。
英語圏の満月名の由来
英語圏の満月の呼び名は、ネイティブアメリカンの伝統やヨーロッパの農業文化に由来するものが多く、古くから人々の生活と密接に関わってきました。
それぞれの地域で人々は、自然の移ろいや季節の節目を読み取るために月を指標とし、生活のリズムを重ねてきました。
ここでは、英語圏の満月名がどのように生まれ、どんな文化的背景を持つのかを詳しく見ていきましょう。
ネイティブアメリカンの満月名の由来
アメリカ大陸の先住民たちは、太陽や星よりも「月の巡り」を生活の基準としていました。
カレンダーや時計を持たなかった時代、月の満ち欠けは農作業・狩猟・収穫・儀式のタイミングを知らせる重要なサインでした。
たとえば、春先に虫が動き出す「ワームムーン」や、イチゴの収穫を告げる「ストロベリームーン」は、自然のリズムと暮らしを結びつける“口伝の暦”だったのです。
彼らはそれぞれの月に独自の物語を持ち、部族ごとに異なる呼称を使っていました。
たとえば、アニシナーベ族では「ズワニギズィス(Snow Crust Moon=雪が固まる月)」、スー族では「Moon When the Trees Pop(木が凍って音を立てる月)」など。
これらは単なる詩的な表現ではなく、自然現象を観察し、生活に活かすための知恵だったのです。
ヨーロッパの農業暦と満月の関係
ヨーロッパでも、満月は農作業の節目を示す“天然のカレンダー”として重視されていました。
古代ケルト人やゲルマン民族の時代には、満月ごとに種まき・収穫・家畜の管理などの時期を定める慣習がありました。
特に「ハーベストムーン」や「ハンターズムーン」は、日没後も明るい月光を頼りに作業を続けるための象徴的な存在でした。
中世以降、これらの呼び名はキリスト教文化と融合し、「収穫の恵み」「感謝」「祈り」といった宗教的意味合いも帯びていきます。
満月の名前にみる英語圏と日本の違い
英語圏の満月の名前は「自然との共生」を軸に生まれた言葉です。
ウルフムーンやストロベリームーンなど、動植物や天候などの自然現象をもとに命名され、古代の人々が自然のサイクルを観察し、生活の指針としてきたことを示しています。
これらの呼び名は、狩猟・農耕・収穫といった生業のリズムを象徴し、月は「生きるための暦」として機能してきました。
一方で日本の満月名は、自然を情緒的に捉える文化に根ざしています。
「十五夜」「中秋の名月」といった呼称は、季節の行事や月を愛でる風習と密接に結びつき、自然を“生きる対象”ではなく“愛でる存在”として描いてきました。
日本では、月を見ることそのものが心を整える儀式のように扱われ、詩や和歌にも数多く登場します。
英語圏が自然の力を読み取り、実用的な知恵として満月を名づけたのに対し、日本は自然の美や移ろいに心を寄せ、感性として表現しました。
異なるアプローチながら、どちらも「自然と共に生きる」姿勢を大切にしており、月という存在を通して人と自然の調和を語り継いできた点で共通しています。
満月をより楽しむための撮影方法
せっかくの満月の夜を、ただ眺めるだけではもったいないですよね。
満月の撮影や観察、由来を知ることで、満月の楽しみ方はぐっと広がります。
ここでは、初心者でもできる満月をより深く味わうための実践的なコツを紹介します。
1)月が赤く見える理由を活かす
満月が地平線近くで赤く・大きく感じるのは、大気の散乱と月の錯視の効果。
演出として活かすなら、月の出/入りの時間に合わせ、灯台・鳥居・高層ビルなど象徴物を前景に置くとよく映えます。
2)ロケハン3点セット
- 方位:撮影地からの月の出入方角(地物と重ねる構図を決めやすい)
- 地形:水平線/稜線/水面の有無で“月の道”の出方が変わる
- 気象:低層雲の出やすさ、風(湖面の波)、湿度(霞)
3)撮影プリセットの目安
- 望遠クローズアップ:ISO100–400、F8–11、1/125–1/500秒(月面の模様優先)
- 広角情景:ISO400–1600、F2.8–5.6、1/2–1/30秒(街明かりとバランス)
- 水面の月道:三脚+レリーズ、**長秒(1–10秒)**で滑らかに
4)“名前の物語”を添える
写真や観月会では、名称と由来の一言を添えると体験価値が跳ね上がります。
例:「今夜はStrawberry Moon。北米のイチゴ収穫にちなむ名で、ヨーロッパではRose Moonとも」
満月の名前に関するFAQ(よくある質問)
満月の名前や意味については、多くの人が同じような疑問を持っています。
ここでは、読者から特に質問の多いトピックをピックアップし、わかりやすく解説します。
ちょっとした豆知識としても楽しめる内容です。
Q1. ピンクムーンって本当にピンク色?
A. いいえ。月の色ではなく、春に咲く花「モスフロックス」に由来します。
Q2. 満月の英語名は公式な天文学用語?
A. いいえ。古代からの民俗的な呼称であり、暦法上の正式名称ではありません。
Q3. 日本の“中秋の名月”と同じもの?
A. 意味は近いですが、命名の背景が異なります。英語圏では自然や生業、日本では行事と暦の節目が中心です。
Q4. ストロベリームーンは恋愛運が上がるって本当?
A. 科学的な根拠はありませんが、愛や感謝を象徴する月として古くからロマンチックな意味合いで語られています。SNSなどでは「好きな人と見ると絆が深まる」として人気です。
Q5. 満月の名前は国によって違うの?
A. はい。英語圏では自然や狩猟、北欧では神話、日本では暦の行事など、地域の文化や信仰に合わせて名前や由来が異なります。同じ月でも「ローズムーン」や「ミードムーン」と呼ばれる地域もあります。
まとめ|空を見上げるとき、季節を感じてみよう
各月の満月の名前には、自然とのつながりや文化的な意味が込められています。
ストロベリームーンの甘い光、ハーベストムーンの黄金の輝き、コールドムーンの澄んだ冷気。
それぞれの月に込められた意味を知ることで、夜空を見る時間がより豊かになるでしょう。
次に満月を見上げるとき、ぜひその名前と物語を思い出してみてください。



