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国名や地名の意味や由来を「ia」、「land」など語尾に付く言葉ごとに解説

ヨーロッパ地図 名前
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世界地図を見ると国名の語尾にカタカナの「イア」がつく国が多いのに気がつきます。

これら、語尾に「イア」がつく国名は、ヨーロッパやアメリカ大陸に多いのですが、アフリカや太平洋の島々にも数多くみられます。

この記事では国名や地名の意味や由来を、「ia」、「land」などの接尾辞ごとに、例をあげて解説しています。

国を意味する接尾辞「ア」、「ランド」、「スタン」

当たり前のことですが、国の名前を表す言葉は地域や言語などによって異なります。

ここでは、国の名前の語尾につく3種類の言葉について紹介しています。

国名の語尾に付く「ア」(-ia)

「~ア」は、正確に言うと「~イア」。古代ローマ時代のラテン語系の地名をあらわす接尾辞「-ia」です。

広範囲な国や地域を表すときに用い、民族名に「-ia」をつけて国名とするケースが多いです。

いくつか、「-ia」のつく国名の例を紹介します。

  • アジア(Asia)
    「東の地」
    ローマ時代にトルコ西部をアシアとした。エーゲ海の東を意味する”assu”が語源。
  • オセアニア(Oceania)
    「大洋の島々」
    古代ギリシア語のオケアノスに由来。
  • ユーゴスラビア(Yugoslavia)
    「南スラブ人の国」
    “jugo”(南)と”slavija”(スラブ人の国)に由来。
  • ルーマニア(Romania)
    「ローマ人の国」
    現在まで古代ローマ人の子孫としてラテン語系の言葉を使い続けている。
  • ロシア(Russia)
    「ルーシ族の国」
    “Rus” はスウェーデンバイキングの総称。
  • オーストラリア(Australia)
    「南の国」
    ラテン語の “australis”(南)に由来。古代からインドの南に未知の大陸があると信じられていた。
  • ミクロネシア(Micronesia)
    「小さな島々」
    ギリシア語の”mikro”(極小)と”nesos”(島々)に由来。
  • サウジアラビア(Saudi Arabia)
    「サウド家のアラビア」
    アラビアは「砂漠の民の国」
  • リベリア(Liberia)
    「自由の国」
    ラテン語の”liber”(自由)に由来。アメリカの解放奴隷のために建国された国。

国名の語尾に付く「ランド」(-land)

「~ランド」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-land」で、「国」を表すときに用います。

  • イングランド(England)
    「アングル人の国」
    ケルト語の”Anglii”が語源。
  • アイルランド(Ireland)
    イングランドの「西に住む人の国」
    ケルト語の”re”(西側)が語源。
  • ネザーランド(Netherland)
    「低地の国」
    日本では、通称オランダ。
  • ニュージーランド(new Zealand)
    「新しい海の国」
    オランダ語で海を表す”zee”に由来。

国名の語尾に付く「スタン」(-stan)

「~スタン」はペルシア・トルコ系特有の地名をあらわす接尾辞「-stan」で、「国」や「土地」など広い地域を表すときに用います。

西南アジアの国名に多くみられます。

  • アフガニスタン(Afghanistan)
    「アフガン人(山の民)の国」
  • パキスタン(Pakistan)
    「清らかな国」
  • カザフスタン(Kazakhstan)
    「カザフ人(放浪の民)の国」
  • トルクメニスタン(Turkmenistan)
    「トルクメン人(トルコ人に似た)の国」

都市を意味する接尾辞「バーグ」や「ベリー」、「グラード」など

ここでは、都市の名前の語尾につく9タイプの言葉について紹介しています。

都市名の語尾に付く「バーグ」、「ブルク」、「ブルグ」 (-burg)

これらはゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-burg」で、「都市」・「城塞都市」という意味があります。

「~バーグ」は英語、「~ブルク」はドイツ語、「~ブルグ」はゲルマン系になります。

  • ウイリアムバーグ(イギリス)
    Williamsburg =「ウイリアムの都市」
  • ザルツブルク(オーストリア)
    Salzburg =「塩の城塞都市」
  • サンクトペテルブルク(ロシア)
    St. Petersburg =「聖ペテロの都市」
  • ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)
    Johannesburg=「ヨハネスの都市」

都市名の語尾に付く「バリー」、「ベリー」 (-bury)

「~バリー、~ベリー」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-burg」が「-bury」に変化したもので、「都市」・「城塞都市」という意味があります。

  • カンタベリー(イギリス)
    Canterbury =「水の都市」
  • ウォーターバリー(アメリカ)
    Waterbury =「水の町」

都市名の語尾に付く「バラ」、「バーグ 」(-burgh)

「~バラ、~バーグ」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-burg」が英語で「-brough、-burgh」に変化したもので、「城塞都市」・「都市」という意味があります。

  • エジンバラ(イギリス)
    Edinburgh =「エドウィン王の城塞都市」
  • ピッツバーグ(アメリカ)
    Pitsburgh  =「ピットの都市」
    ウイリアム・ピットは、イギリスの政治家

都市名の語尾に付く「ブール」(-bourg)

「~ブール」はフランス語系の地名をあらわす接尾辞「-bourg」で、「都市」、「町」という意味があります。

  • シェルブール(フランス)
    Cherbourg =「高貴な町」
  • ストラスブール(フランス)
    Strasbourg =「街道の町」

都市名の語尾に付く「ポリス」(-polis)、「ポリ」(-poli)

「~ポリス」は古代ギリシア語の地名をあらわす接尾辞「-polis」で、「都市国家」という意味があります。

  • ミネアポリス(アメリカ)
    Minneapolis  =「水の都市」
    mniは「水」を意味するインディアンの言葉
  • インディアナポリス(アメリカ)
    Indianapolis =「インディアンの都市」
  • また、「~ポリ」はイタリア語の地名をあらわす接尾辞「-poli」で、同じく「都市」という意味があります。
  • ナポリ(イタリア)
    Napoli =「新しい都市」
    ナポリは元ギリシャの植民都市
  • トリポリ(リビア)
    Tripoli =「3つの都市」
    トリポリは旧イタリア領

都市名の語尾に付く「グラード」(-grad)、「ゴロド」(-gorod)

「~グラード、~ゴロド」はロシア語系の地名をあらわす接尾辞「-grad、-gorod」で、「都市」、「城塞都市」という意味があります。

  • レニングラード(ロシア)
    Leningrad =「レーニンの都市」
  • ベオグラード(セルビア)
    Beograd =「白い城塞都市」
    “beo”はセルビア語で白いという意味。
  • ノヴゴロド(ロシア)
    Novgorod=「新しい都市」

都市名の語尾に付く「スク」(-sk)、「ツク」(tsk)

「~スク、~ツク」はスラブ語の地名接尾辞「-sk、-tsk」で、「都市」という意味があります。

  • ハバロフスク(ロシア)
    Khabarovsk =「ハバロフの都市」
    ハバロフはロシアの探検家。
  • ノボシビルスク(ロシア)
    Novosibirsk =「新シベリアの都市」
  • イルクーツク(ロシア)
    Irkutsk =「イルクート川の都市」
  • オホーツク(ロシア)
    Okhotsk =「オホート川の都市」

都市名の語尾に付く「アバド」(-abad)

「~アバド」はペルシア語系の地名をあらわす接尾辞「-abad」で、「城塞都市」、「集落」という意味があります。

  • イスラマバード(パキスタン)
    Islamabad =「イスラムの都市」
  • アシハバード(トルクメニスタン)
    Ashkhabad =「麗しの都市」
  • ジャラーラーバード(アフガニスタン)
    Jalalabad

都市名の語尾に付く「カルタ」(-karta)

「~カルタ」はサンスクリット語系の地名をあらわす接尾辞「-karta」で、「都市」という意味があります。

  • ジャカルタ(インドネシア)
    Jakarta =「偉大なる勝利の都市」
    梵語の「ジャヤ」と「カルタ」の合成語
  • スラカルタ(インドネシア)
    Surakarta =「ソロの都市」
    ”Solo”はマタラム王国の都

町を意味する接尾辞「シュタット」、「ビル」、「トン」など

ここでは、地名の語尾につく「町」をあらわす7種類の言葉について紹介しています。

町名の語尾に付く「シュタット」(-stadt)

「~シュタット」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-stadt」で、「町」という意味があります。

  • ハルシュタット(ドイツ、オーストリア)
    Hallstadt =「塩の町」
  • アイゼンシュタット(オーストリア)
    Eisenstadt =「鉄の町」

町名の語尾に付く「ビル」(-ville)

「~ビル」はフランス語系の地名をあらわす接尾辞「-ville」で、「町」という意味があります。

英語のvillage(村)と語源が同じ。

  • アルベールビル(フランス)
    Albertville =「アルベールの町」
  • ナッシュビル(アメリカ)
    Nashville =「ナッシュの町」

町名の語尾に付く「ケント」(-kent)

「~ケント」はトルコ語系の地名をあらわす接尾辞「-kent」で、「町」という意味があります。

  • タシケント(ウズベキスタン)
    Tashkent =「石の町」
    前二世紀に建設された石造りの城塞都市にちなんで名づけられた。
  • シムケント(カザフスタン)
    Shimkent =「草原の町」

町名の語尾に付く「カンド」(-kand)

「~カンド」はペルシア語系の接尾辞「-kand」で、「町」、「村」という意味があります。

  • サマルカンド(ウズベキスタン)
    Samarkand =「石の町」

町名の語尾に付く「ワール」(-war)

「~ワール」はペルシア語系の地名をあらわす接尾辞「-war」で、「村」、「町」という意味があります。

  • ペシャワール(パキスタン)
    Peshawar =「人々の町」

町名の語尾に付く「シティ」(-city)

「~シティ」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-city」で、「町」という意味があります。

  • ソルトレイクシティ(アメリカ)
    Salt Lake City =「塩水湖の町」
  • カンザスシティ(アメリカ)
    Kansas City =「南風の人々の町」
    スー族の”Kansa”に由来

町名の語尾に付く「トン」(-ton)、「タウン」(-town)

「~トン、~タウン」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-ton、-town」で、「町」、「柵で囲った地」という意味があります。

  • サウサンプトン (イギリス)
    Southampton =「南の開拓地の町」
  • アーリントン(アメリカ)
    Arlington =「アーリントン伯の町」
  • チャールストン(アメリカ)
    Charleston =「イングランド王チャールズ2世の町」

村を意味する接尾辞「ハム」、「ドルフ」、「インゲン」

ここでは、地名の語尾につく「村」をあらわす3種類の言葉について紹介しています。

村名の語尾に付く「ハム」(-ham)

「~ハム」はケルト語系の地名をあらわす接尾辞「-ham」で、「村」、「屋敷」という意味があります。

  • バッキンガム(イギリス)
    Buckingham =「ブッカ人の村」
    ”Bucca”は、アングロ・サクソン人の族長ブッカに由来するイングランドの最古の町の名前。
  • バーミンガム(イギリス)
    Birmingham =「ケルト系ベルム人の村」
  • ノッティンガム(イギリス)
    Nottingham =「ケルト系スノート人の村」

村名の語尾に付く「ドルフ」(-dorf)

「~ドルフ」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-dorf」で、「村」という意味があります。

  • デュッセルドルフ(ドイツ)
    Dusseldorf =「デュッセル川の村」

村名の語尾に付く「インゲン」(-ingen)

「~インゲン」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-ingen」で、「村」という意味があります。

  • フローニンゲン(オランダ)
    Groningen =「緑の村」

土地の形状や意味に由来する接尾辞|フォートやフルト、ダムなど

ここでは、地名の語尾につく7種類の言葉について紹介しています。

地名の語尾に付く「フォード」(-ford)、「フルト」(-furt)、「フォート」(-fort)

「~フォード」、「~フルト」、「~フォート」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞で、それぞれ「-ford」、「-furt」、「-fort」で、「浅瀬」・「渡し場」という意味があります。

  • オックスフォード(イギリス)
    Oxford =「牛の渡し場」
  • フランクフルト(ドイツ)
    Frankfurt =「フランク族の渡し場」
  • フランクフォート(アメリカ)
    Frankfort =「フランク(人)の浅瀬」

地名の語尾に付く「ダム」(-dam)

「~ダム」はオランダ語の地名をあらわす接尾辞「-dam」で、「堤防」という意味があります。

  • アムステルダム(オランダ)
    Amsterdam =「アムステル川の堤防(ダム)」
  • ロッテルダム(オランダ)
    Rotterdam =「ロッテ川の堤防(ダム)」

地名の語尾に付く「ハイム」(-heim)

「~ハイム」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-heim」で、「郷里」という意味があります。

  • アナハイム(アメリカ)
    Anaheim =「聖アナの郷里」

地名の語尾に付く「ガルト」(-gart)

「~ガルト」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-gart」で、「庭」、「園」という意味があります。

  • シュツットガルト(ドイツ)
    Stuttgart =「牝馬の園」

地名の語尾に付く「シャー」(-shire)

「~シャー」はゲルマン語系の地名をあらわす接尾辞「-shire」で、「州」という意味があります。

  • ハンプシャー(イギリス)
    Hampshire =「自作農場の州」

地名の語尾に付く「ダーラ」(-dhara)

「~ダーラ」はサンスクリット語系の地名をあらわす接尾辞「-dhara」で、「土地」という意味があります。

  • ガンダーラ(インド)
    Gandhara =「香り高き土地」
    ヒンドゥー教の隆盛とともに衰退。カンダハール(アフガニスタン)は、「ガンダーラ」に由来。

地名の語尾に付く「ベルク」(-berg)

「~ベルク」はドイツ語の地名をあらわす接尾辞「-berg」で、「山」(防衛施設を備えた高地)という意味があります。

  • ハイデルベルク(ドイツ)
    Heidelberg =「コケモモの山」

まとめ

現在の国名や地名は、紀元前10世紀ころのフェニキアから始まる古代ギリシア・ローマの古代地中海が起源です。

紀元前から始まるローマ帝国による支配は、ヨーロッパの各言語に大きな影響を与えました。

また5世紀から8世紀におけるゲルマン民族の大移動に伴って、各地にゲルマン語系の地名がつけられました。

そして15世紀に始まる大航海時代には、アフリカや西インド諸島、アメリカ大陸、太平洋の島々が発見され、次々と新しい地名がつけられました。

新しい国家であるアメリカ合衆国では、母国イギリスの地名や政治家の名前、インデアンが呼んでいた地名をつけたものなど数多くあります。

例えば、イギリスからアメリカに渡った移民たちが、ニューヨーク(New York)やニューハンプシャー(New Hampshire)などイギリスの地名にNewをつけたものがあります。

またインデアンが呼んでいた地名では、オクラホマ・シティ(Oklahoma は、 Okla(人々)+humma(赤い) で「赤い人々」)、カンザスシティ( Kansas は、 Kansa「南風の人々」)などがあります。

そのほか、メキシコから割譲されたカリフォルニア州には、サンフランシスコ(San Francisco)やロサンゼルス(Los Angeles)などスペイン語の影響を受けた地名が多いです。

このように、世界の国名や都市名、地名には、古代からの歴史が刻まれていて本当に興味深いですね。

参考文献:文春新書「地名の世界地図」ほか

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