瀬戸内海地域では、毎年春になるとクサフグが産卵のために岸辺にやってきます。
私の住んでいる地域では、剥き身にしたフグが魚屋さんで売られていますし、自分でもクサフグを捕まえて調理をしています。
この記事では、産卵時期のクサフグを捕まえる方法や捌き方を公開しています。
クサフグを産卵時期に捕まえるための道具やコツを紹介
この写真は私が捕まえたクサフグです。
大きいものだと20cmオーバーのクサフグが獲れることもあります。
産卵時期のクサフグを捕まえるための道具
産卵時期のクサフグを捕まえる道具としては、タモ網、釣り用の胴長靴、潮干狩り用ネット、使い捨て薄手ゴム手袋、軍手、ライト、ヘッドライト、クーラーボックスです。
それでは、それぞれ順番に紹介していきます。
・タモ網
使用する道具の中では、タモ網の選び方が一番大事です。
タモ網の柄の材質はアルミ製の軽いもので、長さは1m程度あれば構いませんが、クサフグが少し深みにいる場合もあるので、できれば長さを調節できるものが良いでしょう。
また、網のフレームは水の抵抗に負けないようステンレス製がベストです。
フレームがアルミ製だと、使っているうちに曲がったり折れたりします。
そして、網の素材は水の抵抗が小さいナイロン製で、ある程度の大きさと深さのある網を選びます。
網目はフグが逃げ出さない程度に大きめのほうが良いです。
網目が小さいと網の中に小石が残ってしまうためです。
・胴長靴(ウェーダー)
腰の辺りまで海水に浸かるので、胸まで覆うタイプの胴長靴(チェストハイウェーダー)を選びましょう。
・潮干狩り用ネット
胴長靴の胸の部分にあるベルト留め具のところにカラビナ(金属製の開閉式のリング)を取り付けて、ネットの紐を通して使います。
ネットは、左右に1つずつ取り付けます。そして、締め口が水面から少し出る程度に紐の長さを調整します。
捕まえたクサフグをネットに入れても、ネットは水中に浸かるため浮力で重さはほとんど感じません。
ネットが一杯になったら、いったん陸に上がり獲れたクサフグをクーラーボックスに移します。
・使い捨て薄手ゴム手袋
長時間海水に濡れていると、手がふやけてしまいますし、海水の塩分のため手もベタつきます。
手のふやけ、ベタつきを防ぐために、薄手のゴム手袋を軍手の下につけます。
・軍手
素手で直接クサフグを掴むと滑りやすいので、薄手のゴム手袋のから軍手を着用します。
・懐中電灯
波のある暗い海面を照らしてクサフグを見つけられるよう、できるだけ明るく強力なLEDライトを選びます。
ライトには肩紐を取り付けて、タスキ掛にします。
ライトはできれば防水タイプが良いですが、防水でないライトの場合はサランラップで包んで海水で直接濡れないようにしましょう。
・ヘッドライト
懐中電灯の補助的な照明として使います。数種類の照明に切り替えられるタイプで、できるだけ強力なLEDライトを選びます。
・クーラーボックス
獲れたクサフグを入れます。家に帰ってから、鮮度を保つために氷や保冷剤で冷やしておきます。
捕まえたクサフグは、お腹を膨らませていた海水を吐き出したり、精液や卵子が漏れ出たりします。
後の処理も面倒なので、クーラーボックスの中にレジ袋などのポリ袋を用意し、その中に獲れたクサフグを入れるようにします。
以上、道具はこれだけ用意できれば準備OKです。
産卵時期のクサフグを上手に捕まえるためのコツ
瀬戸内地域ではクサフグの産卵の最盛期は4月上旬です。
産卵のピーク時期にはクサフグの動きも遅くなり、多いときは岸辺の浅瀬に7、8匹が群れになっています。
そしてピークの時間帯にはクサフグもパニック状態になり、胴長靴にぶつかってくる程です。
そんなクサフグを上手に捕まえるためには、タモ網の使い方が一番大事です。
タモ網を使うポイント
1.沖から岸の方に向かって入れる。
フグは沖に向かって逃げるため、できるだけ岸の方に向けてタモ網を入れましょう。
2.海底に向かって垂直に入れ、真上に上げる。
タモ網を垂直に入れてクサフグをすくったら、素早く上に向けてタモ網を上げましょう。
横にすくうと逃げられてしまいます。
3.クサフグの頭の方向から入れる。
シッポの方向からタモ網を入れると、逃げられてしまいます。
4.小さな動きで焦らずに静かにすくう。
慌てて大きな波音を立てたりすると、フグが恐れて沖に逃げてしまうので落ち着いて確実にすくいます。
クサフグの産卵する時期や場所、潮などの条件
瀬戸内海地域では、春になるとクサフグの産卵時期がやってきます。
他の地域では、明るい日中にクサフグが波打ち際で重なるように産卵する様子をテレビで目にしますが、私の住んでいる地域ではこのようなことはありません。
ここではクサフグが産卵する時期や場所、潮、時間帯などの条件を紹介します。
・産卵時期
3月下旬~4月中旬で、ピークは4月上旬
・産卵場所
石組みの防波堤や岩が散在する砂地の浅瀬(20cmから1mの水深)
・産卵に適した潮
潮位の高い中潮~大潮
・産卵の時間帯
夜間~深夜で、満潮の2時間前から満潮前後まで
クサフグの捌き方
用意するのものは小出刃包丁、まな板ですが、クサフグを捌く時に手が滑りやすいため軍手をつけます。
また軍手の下には、手が汚れないよう、臭いが付かないよう、使い捨てゴム手袋をつけます。
それではクサフグの捌き方を紹介します。
1.サフグの頭の固い骨の後ろの辺りを小出刃包丁で切ります。
ただし、お腹側の皮は切断しないで頭と胴体につながった状態で残します。
2.胴体の部分を上向きに、頭の部分を下向きに両方を重ねて、片方の手でしっかり握ります。
3.もう片方の手で頭の部分を持って尻尾の方に向けて(下向きに)引っ張り、胴体部分は持ち上げるようなイメージで外皮をメクって取り除きます。
(身に残った薄皮が気になるようでしたら、取り除いてください)
4.内臓と血、外皮をしっかり取り除き、身と骨だけにします。
外皮が残っている背びれ、腹びれ、尾ひれも取り除きます。
※フグの内臓や血、皮には猛毒がありますので確実に取り除いてください。
5.身に残っている血や精液、卵子を水でしっかり洗い流します。
まとめ
この記事では、私の実体験から産卵時期のクサフグの捕まえ方やコツ、捌き方を紹介しました。
クサフグは大変美味しい魚で、身離れがよく小骨もありませんし、刺し身や煮物、焼き物、鍋ものなど様々な料理を楽しむことができます。
ただ残念なことに、クサフグには猛毒があります。
クサフグの内蔵や皮を取り除いて血を洗い流し、身と骨だけにすれば大丈夫ですが、もしご自分で調理される場合は、くれぐれも自己責任でお願いします。
できれば魚屋さんや調理師の資格のある方にお願いする方がいいかもしれませんね。